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ムッシュ村上

「帝国ホテル厨房物語―私の履歴書 」(日経ビジネス人文庫)を読んだ。

電車の中で座って本を読むと
いつもは数分(または数秒)で眠ってしまうのに
この本はまったく眠ることなく読み切れた。
やっぱ自分の興味の対象は料理とかなんだな(笑)

この本に出てくる村上信夫氏は
その独特の風貌と
NHK「きょうの料理」の講師として出演されていたから
なんとなくは知っていたけど
本を読んでみてすごい経歴の持ち主なんだとあらためて知った。
帝国ホテルの総料理長を26年間も務められたりとか
1964年の東京オリンピックでは「富士食堂」の料理長を務められたりとか。

幼い頃から苦労されて戦争にも行かれて戦場でも苦労されているが
持ち前の才覚と器用さと前向きさで
自らの人生を立派に切り拓かれてきたのだと思った。

いくつか驚くようなエピソードが書かれているけど
当時のシェフは、いわゆる職人気質で
レシピを後輩に教えたりすることはなく
むしろ誰にも知られないようにしていて
そんな環境で、たとえば、残ったソースをなめてみて
それがどんな素材でどんな調理法で作られているのか
自分で想像したという。

職人技は「見て盗め」とか言われるけど
見ることすらままならなかった世界。
何でもググれば調べることができてしまう今とは大違い。
自分がそんな時代にいたら
何も教えてもらえなかったとしたら
どうなっていたことやら。

もう一つ、すごいと思うのは
一流と呼ばれる人たちはライバルとの交流もあること。
帝国ホテルの総料理長であった村上氏は
ホテルオークラの総料理長であった小野正吉氏とも交流があったとのこと。
お互いを敬遠するのではなく交流を深めることで切磋琢磨する関係に憧れる。

ちなみにTBSアナウンサーの安住紳一郎氏は
フリーアナウンサーの羽鳥慎一氏と交流があると聞いてこれも驚いた。
自分もこんな交流を持てたら素敵だろうけど
残念ながら自分は一流ではないので(笑)

自分は才覚もないし、器用でもないし、前向きでもないけれど(笑)
村上氏の仕事に対する姿勢は学ばなければならない。
昭和の時代、会社員としての将来像を
ゼネラリスト志向か、スペシャリスト志向か、という基準で考えていたけれど
このごろは「職人」でありたいと思う。

決められた仕事はきちっとこなし
無理難題もさらっとやってのける。
その品質はいつも一定で高く維持されている。
そんな仕事をしたいものだ。
たとえその仕事が
庶務二課=ショムニの仕事であったとしても(笑)

本の冒頭に彼の料理の写真がいくつか載っているのだが
どれもおいしそう、というよりは芸術品をながめているようで
おいしいには違いないだろうが
何だか異次元の料理のようで
私の経験値からはその味が想像できない(笑)

彼は「村上信夫とフランス料理の夕べ」というイベントを毎月開催していた。
各回ごとにテーマに沿ったコース料理が提供されていたそう。
限られた人たちだけが楽しめたイベントだったようだが
そんな場の雰囲気を自分も経験してみたいと思った。

それは無理としても
一生に一度くらいは帝国ホテルでフレンチのフルコースをいただいてみたい。
が、その場に圧倒されて料理の味なんてわからなくなってしまうんだろうな(笑)

この本は日本経済新聞に掲載された
「私の履歴書」をベースに著されている。
数多の著名人が「私の履歴書」に登場しているが
仮に自分が登場するとして何か書けることがあるだろうか?
残念ながら
私の履歴をひもとく資料も記憶もない(笑)

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