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昭和は遠くなりにけり

懐古趣味というよりは
自分が老いたせいだと思うが
歳を重ねるごとに昔を懐かしむことが多くなって
若い頃には興味も関心もなかったものに惹かれてしまう。

たとえば寅さん。
若い頃から寅さんはもちろん知っていたけど
「男はつらいよ」を観たいなんて微塵も思わなかった。
誠に失礼ながら
「男はつらいよ」を観るくらいなら別の映画を観たほうがマシ…
くらいの感覚だったのに
昨年10月から毎週土曜日にBSテレ東にて
「男はつらいよ」全49作が放映されていて
ここ半年ほどは毎週のように観ていた。

きっかけは
自ら観ようと思って観たわけではなく
たまたまチャンネルをかえていたら放映されていて
気がついたら最後まで観ていたという感じ。

いい加減とも言える寅さんみたいな生き方には
若い頃の自分はまったく共感できなかったけれど
五十路になって人生の酸いも甘いもかみわけて(ないけど)
人情みたいなものがわかるようになってきたのかもしれない。

それに加えて
あの昭和の空気感が懐かしいんだと思う。
おいちゃんとかおばちゃんとか
さくらとか博とか満男とか
タコ社長とか御前様とか
もう画面に映るだけで泣いてしまいそう。

令和になっても
おいちゃんとかおばちゃんみたいな人が
自分の周りにいてくれたらいいのにと思ってしまう。

俵万智が寅さんへの一首として
「自己責任 非正規雇用 生産性 
 寅さんだったら何て言うかな」
と詠んだのを
山田洋次監督が賛同していたのが印象的だった。

寅さんのほかにも
「笑点」の「大喜利」もわりと観るようになった。
笑いとして面白いというよりも
昔からのメンバーがずっと頑張っている姿に励まされるし
定番のメンバーに安心感がある。
このメンバーが永遠には続かないのはわかっているけど
永く頑張ってもらいたいなと思う。

そして、昭和歌謡というか、懐メロにもハマっている。
おととしまで一人暮らしをしていて
その頃は昭和歌謡をよく聴いていたのだけれど
今年4月にちあきなおみの「微吟」というCDが発売されたのを知って
先日、ついに購入してしまった。
(楽曲ダウンロードはないみたい…)

ここ数年、CDというものを購入していなかったので
どこでCDを購入したらよいか、戸惑ってしまったが
結局、TOWER RECORDSで購入。

自分の中では
ちあきなおみと言えば「喝采」が印象的だが
YouTubeで検索していると
いろんなタイプの曲を歌っていてどれも染み入ってくる。
リアルタイムでは聴いた覚え曲なのに
こんなにも染み入ってくるのは
やはり自分が老いたせい。

高校の頃、英単語のテストがあるたびに
クラスメイトの女子の誰かが
解答をプリントしてテストのあとに配ってくれていたのだけれど
いつだったか、その解答のプリントの隅に
「ひなびた街の昼下がり 教会の前にたたずみ」
みたいな喝采の歌詞の一部が
小さく書き込まれたことがあったのを覚えている。

あれはいったい何だったのだろう?
多感で不安定な青春時代に
ふと頭に浮かんだフレーズだったのか?

当時は歌詞の意味もよくわからなかったけれど
今なら今なりにその意味を理解できるように思う。

新しいものを受け入れなければいけないとわかっているけど
心にも体にも染みついたものから
なかなか離れることができない。
平成が終わり令和になっても
自分の中で昭和はまだ生き続けている。
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